不動産投資をしてみたいが、どんな物件をどのように購入すればよいのか全くイメージが湧かない・・。私も最初はそうだったので、同じ思いの方が少なからずいらっしゃるかと思います。

そういった方に向けて、私が実際に不動産を購入した例をご紹介してみたいと思います。今回ご紹介するのは、私が初めて購入した一軒目の物件です。購入経緯を以下の流れでお話しします。

  1. どこで物件を知り、
  2. どんなスペックの物件で、
  3. どのように物件検討し、
  4. どのように融資付けし、
  5. 購入に至ったのか

ちなみに購入した年は2020年です。当時、世間はオリンピック延期で落ち込みムードでした。

どこで物件を知ったか?

どこで物件を知ったか?

この物件は不動産仲介会社のメール配信で知りました。不動産会社のメール配信と言われてもピンとこない方に向けてご説明します。

不動産投資をしている・始めようとしている方の多くが、インターネットで物件を探しています。不動産情報を掲載しているサイトのことを、一般的に不動産ポータルサイトと呼びますが、その中でも収益物件の掲載に特化したサイト(楽待、健美家など)があります。掲載されている物件に問合せをすると、サイトに物件を掲載している不動産仲介会社から物件情報が送られてきます。このときに、多くの不動産仲介会社が「自社サイトに会員登録してもらえたら定期的にメールで物件情報を流します」みたいなことを伝えてきます。このような誘いがあれば、私は基本的に全て登録していました。

過去に登録した不動産仲介会社からメールでたまたま配信されてきた物件の一つが、私の一軒目になったわけです。どこから良い物件情報が流れてくるか、わからないものですね・・。ラッキーでした。

物件のスペック

物件のスペック
1軒目の物件

以下、物件のスペックをご紹介いたします。購入したのは2020年です。

  • 所在地   宮崎県宮崎市
  • 構造    鉄筋コンクリート造6階建
  • 築年    1990年
  • 間取り   2DK×8戸、1K×27戸(計35戸)
  • 価格    1億円(→値引き交渉で8,500万円に)
  • 表面利回り 13.04%(→値引き交渉で15.34%に)

場所は宮崎市の中でも比較的中心部に近いところです。購入当時で築30年の6階建RCマンションです。間取りは2DKと1Kの2種類があります。利回りは元から高いですが、値引き交渉でさらに高くなりました。

物件検討

この物件のメリットデメリットを分析してみましょう。

メリット

この物件のメリットは2点あります。立地利回りです。

立地についてですが、宮崎市の大型商業施設徒歩圏内の商業地域に建っていました。人口の多そうな地域だったので、入居需要は見込めそうに思えました。

利回りについては申し分のない高さでした。利回りが高いというのは、つまり物件価格が安いということです。最初に物件情報を頂いたときの売値では、利回り13.04%でした。そこからさらに値引きに応じていただくことができ、利回り15.34%とかなりの高水準になりました。

デメリット

デメリットも2点あります。築年数競合物件の多さです。

築年数は30年とそこそこ古めでした。物件が古いと気になるのが、設備トラブルと大規模修繕です。設備の数は戸数に比例して多くなるので、35戸もあればかなりの頻度で設備トラブルが発生することが予想されました。大規模修繕については、2009年に屋上防水と外壁塗装を実施済みとのことで、しばらくは実施せずとも大丈夫そうな雰囲気でした。

競合物件の多さについては、街中に建っていれば仕方のないことではあります。全く入居者需要の無いところに建っているわけではないので、手の打ちようはあります。ただ、購入当時で1Kの部屋が9室も空いていました。入居率にすると74%程度なので、若干低めです。

メリット・デメリットを踏まえて検討

要約すると、「街中に建っている競争力の高くない物件だが、値段が結構安い」という物件です。物件資料を見た時点で、なんだかいけそうな雰囲気を感じました。ただ、74%と低めの入居率を、購入後に本当に改善できるのか不安でした。なんせ一軒目でしたから・・。

そこで、ダメ元で不動産仲介業者に物件の値引き交渉をお願いしました。その結果、なんと売主様が1,500万円の値引きに応じてくださいました。これによって利回りがさらに跳ね上がりました。銀行からの借入が減って毎月の返済額が縮小され、入居率の改善に時間がかかったとしてもアパート経営が成り立つ計算となりました。

これが決め手となり、物件購入を決意しました。あとは金融機関からの融資を受けられれば購入できます。

融資付け

融資付け

物件価格は8,500万円です。なので金融機関から融資を受けなければ当然購入できません。というわけで、金融機関に融資をお願いするのですが・・。当時は何をどうすれば良いのかわからなかったので、とりあえず銀行に電話をしてみました。流れとしては以下のような具合です。

銀行  「ガチャッ はい、〇〇銀行です」
私   「あ、すみません。げんたろうと申します。アパートの購入を検討しており、ご融資をお願いしたいのですが」
銀行  「承知しました。担当者に代わりますのでお待ちください」
担当者 「もしもし、担当のXです。では、ひとまず面談を・・・」

いきなりのお願いにも関わらず、面談の予約をさせていただき、後日話を聞いていただけました。面談当日の持ち物は金融機関の担当者から指示があると思いますが、私の場合は以下のようなものを持参しました。

  • 源泉徴収票などの属性資料
  • 物件資料
  • 収支シミュレーションシート

基本的には年収のわかる資料と、購入したい物件の資料くらいで大丈夫だと思います。私の場合はちゃんと収支計算しているアピールでもしておこうと思って、エクセルで作成した収支シミュレーションシートを持参しました。案外評価していただけたような記憶(美化されてる?)があります。

面談からしばらく経って担当者から連絡があり、物件価格+100万円の金額まで融資できそうだと回答がありました。いわゆるオーバーローンというやつで驚きました。これで物件を購入する条件が整ってしまいました・・。

物件購入までの流れ

物件購入までの流れ

残るイベントは以下の2つです。これらを済ませると物件が手に入ります。

  • 売買契約
  • 決済

売買契約については色々あったので少し長くなります。

売買契約

売買契約は、売主・買主が不動産仲介会社の作成した契約書にそれぞれ署名・捺印して完了です。ただ、署名・捺印は不動産会社の宅建士から重要事項の説明を受けてからでないとできません。不動産会社の事務所や金融機関の応接室、または喫茶店などで直接ご説明を受けてから、署名・捺印するのが一般的です。

さて、融資の目途が立ったところで、不動産仲介会社と売買契約の日程調整をすることになりました。が、実はその時点で私はまだ一度も物件を見ていなかったので、不動産仲介会社に物件をご案内いただきつつ、その足で売買契約まで済ませましょう、ということになりました。

ここまで話が進むと、私が巨額の借金をして不動産を購入するのは目前です。不動産購入について妻に話すと、多少驚いていましたがあまり気にしていない様子でした。そのせいもあってか物件購入に対する不安が薄らぎました。ただ、妻も物件を一目見たいと言っていたので、当日は一緒に物件を見に行きました。

契約当日、現地で不動産仲介会社と待ち合わせて物件を案内してもらったのですが、面食らいました。律儀にも空いている部屋(9室)を全てご案内してくださるのですが、ほぼすべての部屋が小汚かったです。色々な虫の死骸があったり、下水の臭いが充満していたりしました。極めつけは圧倒的に汚い一室の存在です。猫の毛が部屋中に散乱しており、部屋中の至る所が黒ずんでいる感じに汚れていました。雰囲気だけで何かが起こったと理解させる光景です。悪寒が走りました。

内見で少なからぬダメージを負いながら、妻を不安にさせてしまったのではと心配になりました。しかし妻は特に気に留めておらず、お昼ごはんのことを考えていました。それを受けて私の不安もなぜか薄らぎ、ヤバい部屋を抱えた物件の売買契約書に普通に署名・捺印しました。お昼は確か、チキン南蛮を食べた気がします。

ちなみに、例のヤバい部屋についてよくよく調べてもらったところ、ご高齢の入居者が孤独死(実際のところ部屋の中で亡くなったのか救急車で搬送された後に亡くなったのかは不明)されてそのままの状態の部屋らしいとのことでした。私は思いました。「先に言ってよ」、と。大幅な値引き交渉に応じていただけた理由がコレだったのかは不明です。ただ、購入前に気付けたので売主側でしっかりと原状回復をしてもらうようお願いしました。購入後に発覚していたら面倒なことになっていたかもしれません。当たり前ですが、やはり購入前の現地確認は大切です

決済

不動産界隈で決済という言葉がよく使われますが、当時の私は何のことか知りませんでした。皆さん当たり前のように決済決済と言ってくるので、「決済ですね~」とか知ったかぶりしていました。簡単にご説明すると、買主が金融機関からお金を借りて、売主に振り込みを済ませるイベントです。

一般的には、融資してくださる金融機関の支店に、買主・売主・不動産仲介会社・司法書士が集まります。売主は来ないこともあります。買主は金融機関に言われるがままに入出金の依頼書を書きまくり、あとは領収書を大量に受け取って終了です。後日、司法書士から所有権移転登記が完了した旨の通知と、登記識別情報(権利証)が送られてきます。

私の一軒目のケースでは、売主様はいらっしゃいませんでした。不動産仲介会社の方と雑談していたら終了しました。司法書士の先生に、ハンコの拭き方がなっていないと注意されたのは良い思い出です。あのときのハンコは、その後色々あって端が欠けてしまいました。私の修行不足です。先生に合わせる顔がありません。

購入費用(支払い総額)

ところで、決済時に支払うお金は物件価格の8,500万円だけではありません。具体的には以下のような費用が掛かります。金額は物件によって変わりますが、この物件に関していくらかかったのかを参考までに記載します。

  • 物件代金   8,500万円
  • 固都税日割精算  67万円
  • 仲介手数料   267万円
  • 登録免許税   162万円
  • 司法書士手数料 12万円
  • 銀行融資手数料  5万円
  • 印紙代      6万円
       →総計 9,019万円    

支払い総額は、物件価格8,500+諸費用519万円でした。この約500万円+不動産取得税を一般的に諸費用などと呼びます。不動産取得税は後日納付書が届くので、すぐに支払う必要はありません。諸費用は物件価格の7%ぐらいが一般的と言われますが、この物件に関しては不動産取得税が180万円だったので、実際には8%くらいになりました。購入検討時の概算には十分な精度だと思います。

資金内訳

支払ったお金の資金源は、以下のようになります。

  • 銀行融資 8,600万円
  • 自己資金  419万円

金融機関から少し多めにご融資いただけたので、助かりました。これがあと数百万円少なければ、購入は難しかったと思います。手元資金からは419万円を支払いました。一個人としては大きな出費でした。

まとめ

私の一軒目の物件を購入するまでの流れをお話してみました。少しでも参考になる点があれば幸いです。個人的にとても教訓になったと感じるのは以下2点です。

  • 不動産仲介会社のメール配信には積極的に登録すべし
  • 物件は購入前に必ず現地確認すべし

また、物件収支は以下の通りです。

  • 物件収支 -419万円

購入しただけでまだ運営は始まっていませんので、収支というよりは初期投資金額ですが・・。ともかく、物件運営を通じて回収していきます。

この物件の運営状況については、以下の記事にまとめてあります。是非ご覧ください。

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